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今回は、帳簿残高と実際有高の金額が不一致だった時の仕訳方法についてわかりやすく解説していきます。
帳簿残高とは、日々記録している帳簿に記入されている残高のことで、実際有高とは、実際に金庫や財布の中に入っている金額の合計です。日々家計簿をつけていると、実際の財布内のお金(実際有高)と家計簿上の残高(帳簿残高)が相違していることが多々出てきます。
今回はそんな、帳簿と実際の財布の中身で相違が出てしまったときの仕訳について解説します。
結論は、不一致に気づいたタイミングで現金過不足と呼ばれる勘定科目を用いて帳簿残高を実際有高似合わせる処理を行います。
後々帳簿残高と実際有高に差が生じていた原因が判明したタイミングで、現金過不足の勘定科目から正しい勘定科目に変更する処理を行います。
決算日まで原因がわからなかった場合は、雑損・雑益を用いて処理します。
ただ、文章で説明していてもわかりにくいので、実際の取引例を紹介しながらわかりやすく解説していきますので最後までよろしくおねがいします!
そもそも仕訳って何?という方や、仕訳のルールについて復習したい場合は第一回目の記事で復習してください。
この記事で紹介する取引例
- 取引①:10月3日 現金の帳簿残高は1,200円であるが、実際有高を調べたところ1,000円だった。
- 取引②:10月20日 10月3日に生じていた現金の不足額200円の原因を調べたところ、100円分は通信費の計上漏れであることが判明した。
- 取引③:12月31日 決算日において現金過不足100円分の原因が不明のままなので、雑損として処理をした。
帳簿残高と実際有高の金額が異なる時の仕訳方法
取引①:10月3日 現金の帳簿残高は1,200円であるが、実際有高を調べたところ1,000円だった。
帳簿残高と実際有高に相違が合った場合、帳簿残高が実際有高に一致するように修正する仕訳を行います。
取引①を見ていきましょう。
帳簿残高には1,200円、実際有高は1,000円と、200円の差額が生じています。「帳簿残高が実際有高に一致するように修正する」ので、帳簿残高を1,000円にする仕訳を行います。
ここで登場する勘定科目が現金過不足です。現金過不足は何故か帳簿残高と実際有高に不一致が見つかった時、一旦とりあえずで処理をする時に使う勘定科目です。
現金の帳簿残高が200円減るので貸方へ現金200円を記入し、借方に現金過不足200円を記録します。
よって仕訳完了結果は以下です。
(現金過不足) 200円 (現金) 200円
仮に、帳簿残高が800円、実際有高が1,000円だった場合は、帳簿有高を200円増やす仕訳を行うので、借方に現金200円、貸方に現金過不足200円を使って処理します。
現金過不足の原因が判明した時の仕訳方法
取引②:10月20日 10月3日に生じていた現金の不足額200円の原因を調べたところ、100円分は通信費の計上漏れであることが判明した。
一旦とりあえずで処理をした現金過不足の原因が判明した時の仕訳は、現金過不足を正しい勘定科目で仕訳し直します。
取引②を見てください。
10月3日に、現金過不足として処理をした200円の内、100円は通信費の計上漏れであったことが判明しています。
10月3日に処理をした現金過不足100円分を正しい通信費として処理をし直します。10月3日に処理をした仕訳は、借方に現金過不足を記入しましたので、今回は貸方に100円、通信費(費用)100円が発生しているので借方に記入して仕訳完了です。
(通信費) 100円 (現金過不足) 100円
現金過不足は、過大と不足どちらも同じ勘定科目として処理するので、借方に記入するか貸方記入するかで悩むときもあるかもしれません。基本的に現金過不足ではなく相手科目から処理をすると仕分けしやすいです。
例えば、現金過不足500円が貸方に生じていて、そのうち150円は売掛金の回収をしたのを計上するのが漏れていたことが原因だと判明した場合。
- 売掛金の回収(資産の増加)を処理。
- 相手科目の現金過不足も同じ金額処理。
みたいな感じで、先に現金過不足ではない方の処理から考えると迷うこともなくなります。
現金過不足の原因が決算日まで判明しなかった時の仕訳方法
取引③:12月31日 決算日において現金過不足100円分の原因が不明のままなので、雑損として処理をした。
現金過不足で処理をした原因が決算日になっても判明しなかったときは、雑損や雑益で処理をします。
決算日とは、お店や会社の1年間の儲けや資産、負債の状況を1年に一度まとめる締め日のことです。締め日までに原因がわからない現金過不足はそのままにすることはできず、雑損や雑益として処理をする必要があります。
取引③を見ていきましょう。
現金過不足100円分(今回は不足)の現金が、決算日まで判明しなかったので、雑損で処理をする仕訳です。
雑損は費用なので、発生したら借方に記入します。相手科目である現金過不足を貸方に記入して仕訳完了です。
(雑損) 100円 (現金過不足) 100円
まとめ
今回は、帳簿残高と実際有高が不一致だった時の仕訳について解説しました。
前回までは一回一回の取引でしたが、今回の例を見ていただいたら分かるようにお店を運営しているので、全ては1年間の流れで行った取引を記録しているので、一度記録した取引を後で修正したりすることもあるのも理解できたことでしょう。
次回は、個人では使うことがないであろう「当座預金」について解説していきます。
ではまた!
まとめ
- 帳簿残高 👉 帳簿を記録しているうえでの本来あるはずの残高。
- 実際有高 👉 実際に金庫や財布に入っている金額。
- 帳簿残高と実際有高の不一致が見つかった時の仕訳は一旦現金過不足で処理をする。
- 現金過不足の原因がわかったら、正しい勘定科目で処理をし直す。
- 決算日まで現金過不足の原因がわからなかったら、雑損(雑益)で処理をする。