まずはじめにこの記事を読んでほしい人は
って感じです。
FP試験の対策を一番に考えて解説していますが、ただただ経済ニュースで出てくるようなGDPや日銀短観などの経済用語について解説していきます。
この記事を読んで頂くことで、FP試験の金融資産運用の分野の対策ができるだけでなく、経済ニュースの意味がわかるので、ニュースを見るのが楽しくなります。
FP試験の金融資産運用の分野を対策!
FP試験とは
知っている人はスルーしていただいて大丈夫ですが、これから金融の知識をつけようと考えている人には1つ覚えてほしい試験がFP試験(ファイナンシャル・プランニング技能検定)です。
FP試験とは「ライフプラン(人生設計)をたてる際の、経済的な側面をサポートするファイナンシャルプランナーとして必要な知識を試す検定」です。
詳しくは以下の記事でまとめているので良ければ読んでみてください!
保険や税金、資産運用など金融の知識をつけるのにもってこいの試験なので、なにか資格を取りたいと考えている人は一度受験を考えてみてもいいと思います!
FP試験の出題範囲
FP試験には大きく以下の6分野の問題が出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
「ライフプランニングと資金計画」はファイナンシャルプランナーとしてお仕事をする上での知識を問う分野で、仕事で必要ない人にはあまり必要ない知識かもしれません。
ただ、それ以外の分野はほぼすべての人が関わるこれから必要な知識ばかりです。
「リスク管理」は保険のことで、「タックスプランニング」は税金のことです。
この記事では、「金融資産運用」の基礎の部分を解説していきます!
金融資産運用の出題範囲
FP試験で問われる金融資産運用の分野は以下の7つです
- 経済・金融の基礎用語について
- 債券
- 株式
- 投資信託
- その他銀行などが扱う貯蓄型の金融商品
- 運用やデリバティブについて
- 金融商品等に関する法律
今回は一番基礎の部分である基礎用語の意味を覚えてもらうための記事となっています。
【ニュースでよく見る!】金融・経済用語を覚えよう!
国内総生産(GDP)ってどんな指標?
国内総生産(GDP)ってテレビのニュースや、記事で観たことありませんか?
GDPは Gross Domestic Product の頭文字をとっていますが、国内での経済活動によって生み出された商品やサービスに対する付加価値の合計で、経済の規模を表しています。
国内で生産したものに限るため、日本企業が国外で生産したものは含まないのがポイント。
内閣府が年に4回(3・6・9・12月に)発表しており、GDPの中で最も大きな割合を示すのは個人が使ったお金の総額である民間最終消費支出の項目が50%以上を占めています。
国内総生産(GDP)は名目GDPと実質GDPに分けられる
GDPには、名目GDPと実質GDPがあります。
名目GDPとは、使ったお金の合計を計算するときに物価の変動を気にしないでGDPを計算するもので、実質GDPは物価変動を気にしてGDPを計算するものです。
例えば、生産された商品の価格が一気に2倍になったとき、名目GDPは単純に2倍になりますが、実際には物価の変動もあるため、経済の規模が2倍になったわけではありません。
そのため、物価変動の影響を加味している実質GDPのほうが、経済規模の実状を知る上では重視されています。
経済成長率はGDPで求める
ある一定期間のGDPがその前期と比較してどれくらい変化しているか(増加しているか)を示したものを経済成長率です。
経済成長率は内閣府が4半期(3か月)ごとに発表します。
景気動向指数(DIやCI)ってどんな指標?
景気動向指数とは、景気全体の動向を知るために産業、金融。労働など景気に影響を与える28項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
景気動向指数は内閣府が毎月発表しています。
指数には、DI(ディフフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)の2つがあり、FP試験ではDIとCIの違いを問われるケースがあります。
DIは景気の山や谷を見るためのの指数
DIは景気の転換点(景気の山や谷)を捕らえるもので、3か月前と比較して、改善している景気指標の割合を示しています。
構成する経済指標のうち、上昇を示している指標の割合が50%を上回っているときは景気拡大、50%を下回っているときは景気が後退していると判断する指標です。
CIは景気変動の大きさやテンポを見るための指標
CIは景気に敏感な指標を合成したもので、景気変動の大きさやテンポ(量感)を把握するのに適しています。
2015年を100として前月の指数が大きく増えているようであれば景気回復が急ピッチであるなどと見ることができます。
DIとCIにはそれぞれ3つの指数が存在する!
DIとCIにはそれぞれ、景気との関係性が時系列的に先に出るかあとに出るかで先行指数・一致指数・遅行指数の3つに分けられます。
先行指数
先行指数とは、景気の動向よりも先に上昇したり下落したりする指数のことです。
景気よりも先に動くため、先行指数をみて、景気が上下するのを予測するのに見る指標とされます。
先行指数には、新規求人数や機械受注、東証株価指数(TOPIX)などがあります。
例えば、景気が上昇し始めると企業は雇用を増やそうとするので新規求人数が上昇します。景気の上昇よりも先に新規求人数は上昇するため、先行指数となります。
一致指数
一致指数は、景気の動向とほぼ同じ動きをする指数のことです。
一致指数には有効求人倍率や鉱工業生産指数、耐久消費財出荷指数などがあります。
例えば、労働需給の面から労働市場の好不況は景気にほぼ一致しているため、有効求人倍率は一致指数となります。
遅行指数
遅行指数とは、景気の動向に遅れて上下する指数のことです。
遅行指数には、完全失業率や家計消費支出があります。
例えば、景気が活発になると消費者の給料が上がるため、消費が活発になります。そのため家計消費支出は遅行指数となります。
日銀短観ってどんな指標?
日銀短観は全国企業短期経済観測調査のことで、日本銀行が行うアンケート調査のことです。
アンケートの対象は企業の経営者で、業種別と規模別に3か月に1度会社の経営環境に関するアンケートを実施しています。間違えやすいポイントとして、発表しているのが内閣府ではなく日銀であるという点です。
日銀短観で注目されているのが業況判断DIと呼ばれる指標で、経営環境(業況)が「良い」「さほど良くない」「悪い」の3段階で集計され、「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を差し引いて表される指標です。
マネーストック統計とは?
マネーストック統計とは民間の非金融部門の保有する通貨量のことで、日銀が毎月発表しています。
ポイントとしては、「民間の非金融部門」すなわち、国と金融機関は含まれないという点です。含まれるのは、個人と一般企業、地方公共団体などです。
物価指数のCPIとCGPIの違いは?
物価指数には、消費者物価指数(CPI)と企業物価指数(CGPI)があります。
消費者物価指数は家計が購入するモノ・サービスの価格を総合的な水準で示したもので、総務省が毎月発表している指標です。
企業物価指数は企業間で取引されている商品価格の変動を表す指数で、日銀が毎月発表しています。
ポイントとしては以下の3つです。
- 消費者物価指数より企業物価指数のほうが先に変動する
- 企業が輸出入する際に為替の影響を受けるため、消費者物価指数よりも企業物価指数のほうが短期的に見ると変動が大きくなる傾向がある。
金融市場の種類・全体像をつかもう!
金融市場はまず短期と長期の2種類に分けられる
金融市場は大きく分けて、短期金融市場と長期金融市場の2つに分けられます。
短期金融市場は、満期までの期間が1年未満の短期資金を調達・運用する市場のことで、長期金融市場は満期までの期間が1年以上の資金を調達・運用する市場で株式市場や債権市場など証券市場のことです。
短期金融市場はインターバンクとオープンの2種類
短期金融市場は更にインターバンク市場とオープン市場に分けられます。
インターバンク市場は、金融機関の間で短期の資金を貸し借りする市場のことで、銀行や保険会社などの金融機関のみが参加できる市場です。
オープン市場は、金融機関以外の一般の事業会社なども資金の貸し借りに参加できる市場です。
FP試験では「オープン市場とは金融機関のみが参加できる市場である。」という○✗問題が出されたりします。もちろん✗です。
インターバンク市場はコール市場と手形市場の2種類
インターバンク市場(金融機関のみが参加できる市場)には、コール市場と手形市場があります。
コール市場は主に無担保コール翌日物と呼ばれる、(日銀の政策金利の対象)が取引されています。
FP試験の過去問題では以下のような問題が出題されていました。
無担保コール翌日物金利は、オープン市場の代表的な金利である。
出典:2013年5月試験 問12
無担保コール翌日物金利は、オープン市場ではなく、インターバンク市場の代表的な金利のため、答えは✗です。
無担保コール翌日物金利とは、金融機関の間で、担保なしで1日だけ資金の借り貸しを行う場合の金利のことで、従来、日銀が金融政策を行う上で対象金利となっています。米国のFFレート(フェデラルファンドレート)が無担保コール翌日物金利に当たります。
【頻出】日銀が行う金融政策について知ろう!
金融政策とは?
金融政策とは、日本銀行が行う金利政策(金利を上げたり下げたりする制作)のことです。
金融政策を行う目的としては、物価の安定だったり、金融システムの安定だったり、安定的な経済成長だったりです。中でも物価の安定が最優先されます。
金融政策の基本的な方針は、日銀で行われる金融政策決定会合で決められます。
公開市場操作の 買いオペ・売りオペ をまず覚えよう!
公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)とは、日銀が行う金利政策の一つで、国債などの有価証券を金融市場で売買することで、民間金融機関の保有する資金の量を増減させる制作です。
買いオペレーション(買いオペ)と売りオペレーション(売りオペ)の2種類があります。
買いオペは、日銀が金融市場から国債を購入し、民間金融機関の資金を増やすことで、金利を低下させる操作です。金利が下がることで、これ以上景気が悪化しないように景気の上昇を目指します。
売りオペは、日銀が金融市場に国債などを売却し、市場から資金を吸収することで、金利を上昇させる操作です。金利が上がると企業が資金を調達しにくくなって、企業の業績が鈍化します。これを金融引締めの政策と呼びます。
預金準備率操作について
金融機関は各社の預金量に応じて、一定割合を準備預金として日本銀行に預けることになっています。その割合のことを預金準備率と呼びます。
通常預金準備率が上がると金融機関の資金量が減るので、金利は上昇し、預金準備率が下がると金融機関の資金量が増えるので金利は下がります。
【頻出】景気や金利、物価、円高・円安の関係性を覚えよう!
景気と金利の関係を覚えよう
景気が良くなる(景気拡大する)と資金需要が増えて、物価も上昇するため金利は上昇します。
一方、景気が悪くなる(景気後退する)と資金需要が減り、物価も下がるため金利は低下します。
物価と金利の関係を覚えよう
物価動向と金利の動きは連動しています。
物価が上がると金利も上がり。物価が下がると金利も下がります。
物価が継続的に上昇し、お金の価値が低下することをインフレーション(インフレ)と呼びます。
逆に、物価が継続的に下落し、お金の価値が相対的に上昇することをデフレーション(デフレ)と呼びます。
円高ドル安・円安ドル高になるパターンを理解しよう
円高ドル安とは、円の価値が高くなることで、ドルの価値が相対的に安くなることです。
円安ドル高とは、円の価値が安くなることで、ドルの価値が相対的に高くなることです。
円高ドル安のときの特徴として、海外から安く物を輸入できるため、インフレ懸念がなくなり金利は低下します。
円安ドル高のときの特徴としては、海外からの輸入物価が上がるためインフレ懸念が高まり、金利は上昇します。
逆に金利側から見る
金利が低いところにお金を預けるよりも、金利が高いところに預けたほうが得ですよね!
そのため、お金は金利の低いところから高いところに流れる傾向があります。
したがって、米国の金利が日本の金利より上昇して行く場合には、日本から米国に流れて、ドルが買われるので円安ドル高傾向に。
日本の金利が上昇する場合は、円高ドル安傾向となります。
まとめ
今回は、FP試験・金融資産運用の分野対策として、経済指標や、金融に関する基礎用語をまとめて解説していきました。
ニュースでよく目にするGDPや日銀短観など、意味がわかってこれからの経済ニュースも少しは楽しめるようになるかと思います。
あとは、他の記事で株式や債権などの金融商品などについても解説していくので、しっかり対策していきましょう。
- 国内総生産(GDP) ⇒ 一定期間内に国内で生産されたモノ・サービスの付加価値の合計額で、国内企業が海外で生産したものは含まない!
- 景気動向指数 ⇒ 景気に敏感に反応する指数を集めたモノ
- 金融市場は短期と長期の2種類!
- 短期金融市場にはインターバンクとオープンの2種類!
- インターバンク市場 ⇒ 金融機関のみ参加できる市場
- コール市場
- 手形市場
- オープン市場 ⇒ 一般企業や地方公共団体も参加できる市場
- インターバンク市場 ⇒ 金融機関のみ参加できる市場
- 金融政策の公開市場操作!
- 買いオペレーション ⇒ 国債を買うことで市場に出回る資金量を増加させ、金利を下げる目的(金融緩和)
- 売りオペレーション ⇒ 国債を売却することで市場に出回る資金量を抑制し、金利を上げる目的(金融引締め)