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「オーダー記法(O記法)」とは、アルゴリズムがどれくらいの処理時間や回数で動くのかを表すための計算量の表記法です。
たとえば、大量のデータから特定の情報を探す「探索アルゴリズム」や、データを並べ替える「整列アルゴリズム」などでは、処理量がデータの数nに対してどのように増えるのかをO(n) や O(log n) といった形で表します。
基本情報技術者試験などの情報系資格では、「O(n²)はどれ?」「2分探索の計算量は?」といった問題もよく出題されます。
整列されたn個のデータの中から,求める要素を2分探索法で探索する。この処理の計算量のオーダを表す式はどれ整列されたn個のデータの中から,求める要素を2分探索法で探索する。この処理の計算量のオーダを表す式はどれか。
平成27年春期 問6
ア. log n
イ. n
ウ. n2
エ. n log2
これから基本情報技術者試験をはじめとしたIT資格試験を受ける予定があるなら、しっかり理解しておくべき重要なテーマです。

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オーダー記法(O記法)についてわかりやすく解説

オーダー記法とはアルゴリズムの性能を評価する際に用いられる計算量を表現する方法のことで、O(1) や O(log2n) のように表現します。
1つの問題を解決するにあたって、たくさんのアルゴリズムが存在しており、どのアルゴリズムを採用するか判断するために、アルゴリズムの良しあしを比較するときなどに計算量で比較したりします。
オーダー記法が表す計算量とは?
計算量とはアルゴリズムの性能を表す指標となる値です。
アルゴリズムが、処理の完了にかかる時間や、処理の回数を数値で表したもので、
このときに便利なのが計算量です。計算量には、時間計算量と空間計算量が存在しますが、今回のオーダー記法で表現するのは、時間計算量です。
- 時間計算量とは、その問題を解決するには何回処理を行う必要があるのか、という処理回数のことです。
- 空間計算量とは、その問題を解決するにあたって必要とするメモリ、いわゆる記憶領域の量のことです。
優秀なアルゴリズムとは?
アルゴリズムとは、コンピュータの処理の手順や計算方法のことで、アルゴリズムを見える化したものを流れ図やフローチャートと呼ばれます。
例えば、「野菜炒めを作るアルゴリズム」とは「野菜炒めを作る手順」という意味で、
- 野菜を洗う
- 野菜を切る
- フライパンを火にかける
- 油を入れる
- 野菜を炒める
- 皿に盛り付ける
一番、処理の回数が少なく、処理が完了するまでの時間も短いアルゴリズムが「優秀なアルゴリズム」です。
探索アルゴリズム計算量でオーダー記法をわかりやすく説明します

オーダー記法の違いを分かりやすく説明するときに便利なのが、探索アルゴリズムです。
探索アルゴリズムとは「特定の値を探索するアルゴリズム」のことで、以下のような種類があります。
- 線形探索法
- 2分探索法
- ハッシュ表探索法(ハッシュ法)

ざっくりどんなアルゴリズムで探索するのかを説明した後に、オーダー記法の説明をしますね!!
線形探索法の計算量は?
線形探索法とは、データが配列に格納されているときに便利な探索法です。
特に断りが無い限り、データは配列に格納されています。線形探索法は配列の先頭から添字を更新しながら順々に比較していく単純な方法です。
線形探索法のポイントは以下の通りです。
線型探索法のポイント
- データを先頭から順々に比較して、目的のデータを探し出す。
- データは、ばらばらに並んでいて良い
- データがN件のとき
- 平均比較回数:(N + 1) ÷ 2回
- 最大比較回数:N回
2分探索法の計算量は?
2分探索法とは、昇順もしくは降順に整列されたデータ領域の中央を調べ、目的のデータが中央の値より前にあるか後ろにあるかを判断して、段々と範囲を絞っていく探索アルゴリズムです。
2分探索法のポイントは以下のとおりです。
2分探索法のポイント
- データ領域の中央値で比較し、探索範囲を絞り込み、目的のデータを探し出す。
- データは、昇順か、降順に整列されていなければならない。
- データがN件のとき、
- 平均比較回数:log2N 回
- 最大比較回数:log2N + 1回
ハッシュ探索法(ハッシュ法)の計算量は?
ハッシュ表探索法(ハッシュ法)は、データをあらかじめ探しやすいところにおいておく方法です。
格納するときも探索するときもハッシュ関数と呼ばれる関数で格納位置を計算するため、1回の探索で特定のデータを見つけ出すことができます。ハッシュ関数を使ってデータを格納する配列などの領域をハッシュ表と呼びます。
ハッシュ法のポイントは以下のとおりです。
ハッシュ表探索法のポイント
- データをハッシュ関数で計算した位置に格納しておく。
- 異なるデータが同じ位置になる衝突を起こしてしまう事がある。
- 衝突のため格納できないデータのことをシノニムと呼ぶ。
- データがN件のとき、
- 平均比較回数:1回
- 最大比較回数:N回
整列アルゴリズムとオーダー記法

整列法とはデータ列をキー項目の昇順(小さい順)、または、降順(大きい順)に並べ替えることをデータのソート(整列)といいます。
整列法の種類にはバブルソート・選択ソート・挿入ソートなどがあります。
探索法と同様に、情報技術者試験ではそれぞれの整列法がどのような並び替えの方法なのかを問う問題が出題されているので、一つ一つ解説していきます。
バブルソート(交換ソート)の計算量は?
バブルソート(交換ソート)とは隣同士のデータを比較して大小関係が逆ならば交換を行う整列法です。
{ 4.2.5.3.1 } という配列をバブルソートで昇順に並び替えましょう。
4と2の大小関係を比較し、逆だとわかり入れ替えます⇒ { 2.4.5.3.1 }
続いて4と5の大小関係を比較するとそのまま、5と3の比較に移ります。
5と3は大小関係が逆なので交換します ⇒ { 2.4.3.5.1 }
という感じでちまちま並び替えしていき、最終的に{1.2.3.4.5}にする整列法です。
選択ソートの計算量は?
選択ソートとは、一番大きなデータを選んで末尾に置いて行く整列法です。
{ 4.2.5.3.1 }の配列を選択ソートを用いて整列していきましょう。
{ 4.2.5.3.1 }で一番大きな値は5なので5を末尾の1と交換する。 ⇒ { 4.2.1.3.5 }
続いて5は確定したので次に大きいのは4のため4と3を交換する。 ⇒ { 3.2.1.4.5 }
と繰り返していき、最終的に{1.2.3.4.5}とする整列法です。
挿入ソートの計算量は?
挿入ソートとは、データを一個取り出して、置くべき位置に挿入していく整列法です。
同じように{ 4.2.5.3.1 }を挿入ソートを利用して昇順に並べ替えてみましょう。
まずは空の配列{}を用意して、{ 4.2.5.3.1 }の先頭の4を入れます。 ⇒ {4} { 2.5.3.1 }
{ 2.5.3.1 }の先頭2を置くべき位置に挿入します。 ⇒ {2.4}と{ 5.3.1 }
といった順序で1つずつデータ列に挿入していくことで昇順に並び替える整列法です。
その他の整列法:高速ソート法
午前試験では用語のみが出題されるだけなので今回の記事では用語を説明することとします。
高速ソート法には、クイックソート・シェルソート・マージソートなどがあります。
高速ソート法の種類
- クイックソート ⇒ 適切な基準値より小さなデータと大きなデータに振り分け、領域を分割することを繰り返す
- シェルソート ⇒ データをある感覚ごとのデータ列に分け、挿入法で並べ替え、最終的に間隔を1にする整列法。
- マージソート ⇒ データをいくつかのグループに分割し、整列と併合を行う方法。
オーダー記法の暗記ポイントをまとめます

基本情報技術者試験の午前試験ではオーダー記法は覚えておけば時間もかからず解ける問題ばかりのため、計算量を暗記しておくと良いです。
暗記しやすいように、オーダー記法から探索アルゴリズムや整列法へ逆引きもしておきます。
O(1) の意味とは?
O(1)はデータ量がどんなに増えても、処理回数(計算回数だったり探索回数)を常に1回しか行わないという意味です。
探索アルゴリズムでいうとハッシュ法探索の計算量がO(1)です。
O(n) の意味とは?
O(n)はデータ量がnだけ増えると、処理の回数もn増えるという意味です。
探索法や整列法でいうと、線形探索法の計算量が O(n) です。
O(n2) の意味とは?
O(n2)は、データ量が増えると処理回数はn2ずつ増えるという意味を表しています。
具体的にはソートがこれに当たります。
整列法の挿入ソートの計算量が O(n2) です。
O(log2n) の意味とは?
O(log2n)は、データ量がn増えると、計算量が log2n ずつ増えるというのを表現しています。
log2n が分かりづらいですが、log2n = E は 2E = n と同じ意味です。「2を何乗したらnになるのか」を表しており、そのため、O(√n)と似た意味になります。
探索法や整列法でいうと2分探索法の計算量が O(log2n)です。
正直logの意味が分かりづらい人もいると思いますが、そういうときは「2分探索法の計算量がlog」とだけ覚えておきましょう。
オーダー記法に関する基本情報技術者試験の過去問題にチャレンジ!

2,000個の相異なる要素が,キーの昇順に整列された表がある。外部から入力したキーによってこの表を2分探索して,該当するキーの要素を取り出す。該当するキーが必ず表中にあることが分かっているとき,キーの比較回数は最大何回か。
ア. 9
出典:平成20年秋期 午前問13
イ. 10
ウ. 11
エ. 12
整列されたn個のデータの中から,求める要素を2分探索法で探索する。この処理の計算量のオーダを表す式はどれ整列されたn個のデータの中から,求める要素を2分探索法で探索する。この処理の計算量のオーダを表す式はどれか。
出典:平成27年春期 午前問6
ア. log n
イ. n
ウ. n2
エ. n log2
整列アルゴリズムの一つであるクイックソートの記述として,適切なものはどれか。
ア. 対象集合から基準となる要素を選び,これよりも大きい要素の集合と小さい要素の集合に分割する。この操作を繰り返すことで,整列を行う。
イ. 対象集合から最も小さい要素を順次取り出して,整列を行う。
ウ. 対象集合から要素を順次取り出し,それまでに取り出した要素の集合に順序関係を保つよう挿入して,整列を行う。
エ. 隣り合う要素を比較し,逆順であれば交換して,整列を行う。出典:平成27年秋期 問7
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まとめ
今回は、基本情報技術者試験でも頻出の「オーダー記法(O記法)」について、探索・整列アルゴリズムとセットでわかりやすく解説してきました。
オーダー記法は単なる“暗記項目”ではなく、「どんな処理がどれだけの回数動くか?」考え方の軸を掴むことが大切です。探索アルゴリズムや整列法(ソート法)とセットで理解しておきたいところ。
次にやるべきアクション!
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